まぶたの病気

ものもらい

一般的に、まぶたの腫れを「ものもらい」と呼びますが、ものもらいには霰粒腫と麦粒腫があります。

霰粒腫

まぶた内にあるマイボーム腺(分泌腺)が詰まってしまい、分泌液が溜まった状態が霰粒腫です。まぶたが腫れて、開けにくくなり、患部が大きくしこりとして触れることがありますが、痛みはほとんどありません。稀に炎症を起こしてしまうと、赤くなって痛みやかゆみが伴う急性炎症性霰粒腫となります。

霰粒腫の治療

しこりが小さい場合は、自然治癒します。ただ、気になって触ったり、こすったりすると角膜や粘膜が傷ついて感染症のリスクが高まります。ものもらいが気になる場合は、眼当院までご相談ください。治療は、点眼薬や内服薬を用いて行いますが、しこりが大きかったり、なかなか改善しなかったりする場合は、切開治療を行います。

麦粒腫

マイボーム腺やまぶた外側・まつげ根元などが細菌感染して化膿することで、炎症・腫れが生じる状態が麦粒腫です。赤み・腫れ・痛み・かゆみの症状が主な特徴です。ほとんどのケースが黄色ブドウ球菌に感染することが原因です。免疫力が落ちた時などに感染しやすくなります。

麦粒腫の治療

抗生物質の点眼薬や内服薬を用いて治療を行います。治療中、症状が緩和しても自己判断で中断せず、医師の指示にしたがって点眼や内服期間を守ってください。治療は短期間で終了しますが、化膿がひどい場合は、膿を排出する切開手術治療を行います。

眼瞼痙攣

自分の意思に関係なく、まぶたが勝手にピクピクと痙攣する状態を眼瞼痙攣と言います。まぶたの開閉機能に異常が起こっている状態で、50~70代の女性に多く発症するとされています。主な原因は、脳からの指令が伝わりにくくなることです。ほとんどのケースで両目に起こり、片目だけに症状がある場合は、顔面神経の麻痺が考えられます。さらに、眼の症状のほかに唇に痙攣が起こることもあります。

眼瞼痙攣の治療

眼の周囲の筋肉が痙攣を起こさないように有効な治療として、ボトックス注射があります。ボトックス注射は、美容医療で用いられるイメージですが、神経伝達を妨げて筋肉を麻痺させるので眼瞼痙攣にも有効です。効果は約3カ月維持できます。効果が切れてきたら再度ボトックス注射を行います。(現在当院では行っておりません。)

眼瞼内反(逆さまつげ)

まつげが自分の目に向かって生えている状態を眼瞼内反(逆さまつげ)と言います。まぶたのたるみやふくらみなどの異常から内側に向いて生えているために、まつげが眼球に触れている状態です。かゆみや痛み・充血などの症状が見られ、角膜や粘膜を傷つけて細菌に感染するリスクが高まります。酷い状態だと深刻な視力障害を引き起こす恐れがあるので注意が必要です。下まぶたがたるみやすい高齢の方に多く見られます。一方で、下まぶたが膨れている乳幼児は、睫毛内反と言ってまつげが内側に向かって生えることがあります。

眼瞼内反の治療

目に向かって生えているまつげを抜くことで症状は解消します。ただ、毛根が残っている場合、再度生えてくるときに内側に生えてしまうため、手術治療で根本的に治す必要があります。乳幼児の睫毛内反は、自然治癒することが多いので経過観察が必要です。だいたい7歳くらいまで様子を見て、それでも改善しない場合は手術治療が必要です。

眼瞼下垂

上まぶたが垂れ下がっている状態を眼瞼下垂症と言います。視界が狭まるために、目を開けようと額のしわが寄ったり、二重幅が広くなったりという症状が見られます。目を大きく開いていても眠たそうに見られる場合は、眼瞼下垂かもしれません。眼瞼下垂は先天性・後天性と2つに分類されます。

眼瞼下垂症の原因

老人性下垂 加齢に伴ってまぶたの筋力が衰えて、皮膚が垂れ下がります。
コンタクトレンズ下垂 ハードコンタクトレンズの長期使用によって発症します。
先天性下垂 生まれつきまぶたの筋力が弱く、皮膚が垂れている状態
その他 アトピー性皮膚炎・眼の手術・神経疾患・メイクなどの影響によって皮膚が垂れ下がります。

眼瞼下垂症の症状

  • 目が細くなる
  • 眠たそうに見える
  • まぶたが腫れている
  • 上まぶたが瞳にかかり視野が狭くなる
  • 額にしわが寄る・深いしわが出来た
  • 気付くと険しい表情をしている
  • 眉毛の位置が前よりも上がった
  • 慢性的な頭痛がする
  • 首や肩がこる

眼瞼下垂症の治療

点眼治療や内服治療では改善できないため、手術治療を行います。下垂解消のために、皮膚の一部分を切除する治療と、上まぶた筋肉を短くする治療があります。手術は関連施設へのご紹介が可能となっておりますので、ご相談下さい。

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